エンジニアのためのメンタルヘルス診療所

時間との闘い

エンジニアの仕事において極めて大きなプレッシャーとなるのが納期です。この「いつまでに仕事を完成させられるのか」という問いに正確に答えるためには、仕事を完成させるために必要な工程作業をすべて抽出して、そのそれぞれに必要な時間を的確に見積もることができなければなりません。一度決まった納期は、それ相応のやむを得ない理由がない限りそう簡単には延ばせません。生き馬の目を抜くビジネスシーンにおいて、クライアントにとっても時間は貴重です。そこでライバルとの熾烈な競争を勝ち取るために、無理なスケジュールを組む羽目になることもあるでしょう。あるいは自分や会社としての実力を見誤っているために適切な見積もりをすることができない場合もあります。特に自分が知らないことや経験のないことを計算に入れようとしても、中々上手くは行きません。往々にして自信過剰になってしまい、客観的な判断が下せなくなるのです。従って自分にできることと出来ないことをわきまえている人が、結果的にエンジニアとしてクライアントからの信頼を勝ち取ることになりそうです。

想定外を想定する

そしてどのような場合にも、想定外の事態が起きるものだという認識を持っておくことは大切です。ともすればその時の自分が頭に思い浮かべられるものだけがすべてと勘違いしてしまい想定外のことは起こらないと無邪気に決めてかかって、余裕のないスケジュールを立ててしまいがちです。しかし未来を予測することなど所詮は不可能なのであり、偶然であれ必然であれ想定外の事態は起こるものなのです。そしていくら誰にも予測がつかなかったほど特殊な事態が生じたにしても、納期に遅れればエンジニアとしての評価は決定的に下がります。この納期を守るということは、クライアントにとってもその後の戦略上重要なのであり、それが守られなければすべての計画が狂うことにもなりかねません。一度納期を破ってしまうと、その後にも納期を守ることができるのかどうかクライアントが疑心暗鬼になってしまうため、結果として仕事を逃すことになるのです。ましてや一度失ったクライアントの信頼を取り戻すためには、何倍も努力して実績を積まなければなりません。そのため想定外を織り込んだ納期の設定がどうしても必要になるのです。

納期の効用

もっとも、決めた納期に間に合わせるということが、逆に新たな挑戦を促すということもあります。つまりこれまで通りのやり方では納期に間に合わないために、なんとか時間を短縮してより効率的な方法を見つけようとするのです。そのため納期のプレッシャーを受けるということは、悪いことばかりではありません。

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