今やインターネットにいつでもどこからでもアクセス出来て、必要なサービスを手軽に安全に素早く享受できるということが、当たり前のものになりつつあります。しかし、それを支えるべく「縁の下の力持ち」として日夜奮闘を続けるITエンジニアにとって、就労環境は過酷さを極めています。連日の深夜にまで及ぶ長時間労働はもちろんのこと、休日出勤も当たり前という場合がほとんどです。このような勤務体制において、疲労を日々取り除くということは非常に困難になっています。疲労感が抜けずに休みたいと感じているのであれば、まだその段階で休養を取れば自ずと回復するものです。しかし、更にそこから疲労が蓄積し続けると、過労状態に至ります。時折「過労死」が取り沙汰されますが、極度にストレスを抱えた状態は作業をするにも苦痛が伴い、当然のように能率も低下してしまいます。作業に対する意欲はもちろん、それ以外にこれまでであれば楽しんでやれたことも意欲が湧かず、体がだるかったり重かったりといった、身体機能の低下も見られるようになるのです。人員不足から最低限の人数で仕事をなんとか回している企業もあり、疲労を自覚していても現実には休めず、燃え尽きてしまって休職や退職に追い込まれることもあるのです。
コンピュータの特徴は、長時間膨大な作業をひたすら繰り返しても疲れないという点にあります。そのため人に代わってそのような作業をコンピュータに任せようというのが機械化なのですが、エンジニア自身はどう頑張ってもコンピュータになることは叶いません。自分自身の生活時間を振り返ってバランスの良い配分を心掛けましょう。まずは睡眠や食事など、人が生活する上で最低限必要な時間があります。その上で労働をする時間と、ゆとり時間とがあるのです。この三者のバランスが大切なのですが、ともすれば労働時間が長くなりすぎて、ゆとり時間を削ることになります。このゆとり時間とは家族や友人や地域社会と交わる時間であり、削ったからといって即座に不利益を生じるとはいえず「忙しい」の一言で済ませてしまうことも少なくないでしょう。しかしそこから更に睡眠時間を削ったり食事や入浴など身の回りに気を配る時間を削り始めると、身体に影響が出始めます。運動不足も手伝って、高血圧や糖尿病など、生活習慣病にかかるリスクが高まります。
このように、日々脅かされるエンジニアのメンタルヘルスを少しでも良好な状態に保つための根本的な解決策は、会社が従業員の働き方を変えることです。余裕のある人員を配置して、疲れたら休むことができる就労環境を整えることが急務なのです。